障害を抱えている方のなかには、社会人経験を積んで仕事に慣れてきた30代のタイミングで、よりステップアップのために転職を検討している方もいるでしょう。あるいは、不慮の事故や発病により、障害者雇用枠での転職を余儀なくされるケースもあるかもしれません。
30代の方が障害者雇用で転職をするときは、どのようなことを意識すればいいのでしょうか。この記事では、30代の方が障害者雇用枠で転職するときの傾向やポイントについて解説します。
まずは、30代における障害者雇用の転職傾向について見ていきましょう。
そもそも、30代で障害者雇用を検討する方の割合はどれほどなのでしょうか。平成30年に行われた厚生労働省の「労働市場分析レポート」によれば、障害者の新規求職申込み数は平成23年と平成28年と比べて、30~34歳で10.9%、35~39歳で1.2%増加していることがわかりました。
とくに精神障害者の求人申し込み件数が多く、30~34歳で32.4%、35~39歳で20.6%増加しています。それほど現代は「障害と付き合いながら働く」選択肢がオーソドックスになりつつあり、社会の障害への理解が深まってきたと言えるのかもしれません。
同調査の結果を見ると、ハローワークを利用した障害者の就職件数は40代の方が最も多く、次いで30代の方が多かったことがわかっています。とくに、精神障害者における30代の就職件数が非常に多い点が特徴でした。このことから、30代で障害者雇用を検討する方の数が年々増加しているだけではなく、実際に転職に成功している方が多いことが読み取れます。
ほとんどの年代・障害種別で障害者の就職率は上昇しており、その数は一般職業紹介状況よりも高くなっているところが特筆すべき点です。30代で障害者雇用を検討している方にとって、今は転職の追い風となるタイミングだと言えるでしょう。
厚生労働省が発表した「平成30年度障害者雇用実態調査」によれば、すべての年代で見たときの障害ごとの平均年収は以下のとおりでした。
残念ながら、障害者雇用で働いている30代の方の平均年収についてのデータは公表されていません。したがって明確な平均年収を割り出すことはできませんが、実際の求人を見てみると300万~400万円前後の求人が多い傾向にあります。
「平成29年分民間給与統計調査」における一般雇用枠の平均年収は432万円であったため、障害者雇用では平均年収と同等、もしくはそれより少し低い水準の年収になることが予想されるでしょう。
もちろん、働き方や雇用形態によって実際の年収は大きく異なります。なかには500万円以上の年収を提示している企業もあるため、キャリアやスキルを生かせる仕事を選べば年収アップを狙うことも十分に可能です。
30代の障害者の就職率が上昇しているとはいえ、ただやみくもに企業を選んで選考を受けていては、納得のいく転職をすることはできません。ここからは、30代の方が障害者雇用への転職を成功させるために押さえておきたい注意点について解説します。
現在、民間企業の障害者法定雇用率は2.2%で、従業員が45.5人以上雇用している企業は1人以上の障害者を雇用することが義務付けられています。2021年にはさらに0.1%法定雇用率が引き上げられるため、今後より障害者雇用の求人数は増加していくことが予想されます。先述した就職率を踏まえても、30代の障害者雇用での転職はますますしやすくなっていくでしょう。
しかし、いくら売り手市場ともいえる状態であったとしても、受ければ必ず採用されるというわけではありません。書類選考や面接でしっかりとキャリアやスキルをアピールできなければ、選考で落とされることは十分に考えられるのです。
逆を言うと、準備を整えて選考に挑めば、30代の方の障害者雇用への転職が成功する可能性は高いといえます。公的機関や転職エージェントなどのプロの手を借りて、選考準備を整えてから転職活動を進めていきましょう。
障害者雇用でもっとも大切なのは、ご自身の障害について正しく伝えることです。「どのような配慮をしてほしいのか」「どのような業務が苦手なのか」「対処法はあるのか」など、ご自身の障害を客観的事実として伝えられると、企業側も必要な配慮や任せる業務をイメージしやすくなり安心して採用できるようになります。
障害や体調について症状を軽く申告してしまうと、のちのち業務を負担に感じることが増えて早期退職の原因になります。ご自身のためにも企業のためにも、障害の程度を正しく伝える練習をしておきましょう。
転職活動をするときは、ハローワークや求人サイトを活用する方がほとんどでしょう。ハローワークは障害者専門の相談員がいて気軽に相談できますし、求人サイトでは多くの企業を見比べてご自身に合った求人を探せるというメリットがあります。ただし、ハローワークや求人サイトに掲載されている障害者雇用枠の求人は、年収が安めのものが多い点に注意しましょう。
障害者雇用でも高収入な求人を探したいのであれば、転職エージェントの活用がおすすめです。一般公開されていない好条件な求人が豊富で、転職のプロであるのコンサルタントが一人ひとりの障害に合った求人を紹介してくれます。ハローワークや求人サイトと併用して、転職エージェントにも登録しておくとより効率的な転職活動ができるでしょう。
ある程度のキャリアを積んだ30代の転職だと、面接の場でついついスキルをアピールしたくなってしまうかもしれません。しかし、転職を成功させるためには、スキルだけではなく人柄もアピールすることが大切です。
30代というと、役職がついて上に立つ立場になる方も出てきます。その一方で、まだまだ上司のもとで経験を積んでスキルアップすることも求められます。つまり30代は、部下と上司の双方との円滑なコミュニケーションが求められる年代なのです。
とくに障害を持つ方は、ストレスに弱かったりコミュニケーションを苦手に感じたりする方が多い傾向にあります。したがって企業は、「採用後、社風になじんでくれるか」「周囲と協力して仕事ができるか」という点を懸念しているのです。人柄をアピールして円滑なコミュニケーションが取れることを企業へアピールできれば、採用へ大きく前進できるでしょう。
2021年4月の法定雇用率引き上げにより、障害者の求人数はますます増加していくことが予想されます。とくに30代の障害者は就職率が高い水準にあるため、転職を検討している方にとってはチャンスともいえる機会かもしれません。
30代の方が障害者雇用の転職を成功させるためには、プロの手を借りることが大切です。「高収入の優良求人を紹介してもらいたい」「効率的に転職活動を進めたい」というときは、障害者向け転職エージェントのココピアまでご相談ください。専門知識が豊富な専属コンサルタントが、障害に合わせた求人の紹介から選考対策、交渉や入社後定着支援までサポートいたします。
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