仕事によって得意・不得意の差があって苦労している、得意なことがわからず仕事選びに困っている発達障害の方は、まずご自身の特性を理解する必要があります。
充実した職業生活を送るためには、不得意をカバーして得意を活かせる仕事選びが重要です。
この記事では、発達障害の方が特性を活かして働ける仕事や働き方について解説します。発達障害の方向けの就活情報も解説していますので、最後までご覧ください。
発達障害の方の特性は人によって異なりますが、大きくASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)に分類できます。
「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「限定した常同的な興味、行動および活動」が主な特性です。具体的には以下のような特性を持っています。
「不注意」「多動性・衝動性」が主な特性となっています。一つの特性が現れやすい方や、両方の特性が現れる方など、人によってさまざまです。それぞれの特性を詳しくみていきましょう。
LD/SLDの方は知的発達全体の遅れは見られません。しかし「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のうち、特定の分野で発達が遅れている傾向にあります。具体的には以下の特性を持っています。
発達障害の方が苦手とすることを避けて、得意なことを活かせる仕事や働き方を考えてみましょう。
ASDの方は、マニュアルやルールが決まっているルーティンワークに向いています。特性を活かすのであれば、データ入力など定型業務の多い事務や経理業務、工場での組み立て・梱包、食器洗い、清掃などがお勧めです。
ASDの方の中には、興味関心のある一つの事柄に集中する特性を活かして、研究者や芸術家として活躍している方もいます。好きなことを仕事にしたい方は、そういった仕事に就くことも検討してみましょう。
逆に、場の空気を読むことや相手の気持ちを汲むこと、臨機応変に対応することが求められる接客業や営業職は特性に合いにくいため、工夫が必要です。
ADHDの方は幅広く興味を持てる好奇心や固定観念に囚われない発想力、真っ先に動ける行動力といった特性があるため、デザイナーやアニメーター、ゲームプランナーなどクリエイティブな仕事に就くのがお勧めです。
また、行動力が必要とされる営業職でも特性を活かせます。
ただし、ルーチンワークやさまざまな業務をこなす仕事、正確性が必須となる製品検査、校正などの仕事は特性を活かしにくいでしょう。
LD/SLDの方に向いている仕事は個人の特性によってさまざまです。発想力や表現力、物事を大まかに捉える能力に長けている方は、広告関係やデザイナー、カメラマンなど、ビジュアルデザインを行う仕事に就くことをお勧めします。
読み書きや計算能力に不安がある方でも、音声レコーダーや電卓アプリなどのツールを活用すれば問題ありません。ご自身の興味関心や能力を分析して、どのような仕事なら快適に働けるのか、考えてみましょう。
発達障害の特性を活かせるような仕事や働き方を選んでも、不得意なことに直面してしまうときもあるでしょう。困ったときは自力で解決しようとせず、周囲からのサポートを求めましょう。
発達障害の方が仕事で抱える問題として、スムーズにコミュニケーションがとれなかったり業務完了までに時間がかかったりするために「仕事ができない人」という評価を下されてしまうことがあります。そうした評価を受けた発達障害の方は自己嫌悪に陥って、うつ病や適応障害などに苦しむ可能性があるため、深刻な問題です。
発達障害の方が自力で苦手なことをカバーするのは容易ではありません。発達障害の方がストレスフリーで働くためには、周囲からのサポートが必須です。周囲の方にご自身の特性を伝えた上で、どのような配慮が必要なのかを説明しましょう。ご自身の特性が理解されて、配慮すべき点が明確になれば、お互いにストレスなく働けます。
ご自身の特性を理解することや配慮してほしい点を周囲に伝えることは、発達障害の方が働く上で重要です。
しかし、働き始めてからご自身の発達障害に気付いた方が今から周囲に障害の有無を打ち明けるのは、心理的に容易ではありません。
今の職場で働き続けるのが困難で、周囲に理解を求めるのも難しい場合は、障害者雇用という選択肢も検討してみましょう。
障害者雇用促進法によると、企業には一定の割合で障害者を雇用する義務があります。障害者枠の求人に応募するためには、障害者手帳の取得が必要です。
障害者雇用を行う企業には、障害の有無にかかわらず社員が平等に働けるよう、負担にならない範囲で支援を行う「合理的配慮」が義務付けられています。
合理的配慮の具体的な内容は、以下の通りです。
障害者雇用枠では特性に合わせてさまざまなサポートを受けられるため、一般雇用枠よりも職場定着率が高い傾向にあります。
厚生労働省が2020年2月に発表したデータによると、障害者の1年後の職場定着率は障害者求人で70.4%でした。一般枠での定着率については、障害開示が49.9%、非開示が30.8%となっており、障害について周知したほうが続けやすいことがわかります。
障害者求人における発達障害のある方の1年後の職場定着率は79.5%となっており、他の障害のある方より安定して働けています。
参考:障害者雇用の促進について 関係資料
発達障害のある方が障害者枠で就職すると、多くのメリットが得られます。
障害者雇用の場合、具体的にはどのような仕事に就けるのか、障害のある方向けの就職・転職支援サービス「ココピアキャリア」の求人情報を参考に、チェックしていきましょう。
障害者枠の求人は限られた職種しか募集していないというイメージを持つ方もいるかもしれません。
ココピアキャリアでは営業や事務、エンジニア、人事、経理など、幅広い職種の求人情報が掲載されています。
「応募者の意欲や能力に応じて部門・職種を決定する」というオープンポジションで募集している企業もあるため、障害者雇用であっても希望の職種に就ける可能性は十分にあります。
障害者雇用だと一般雇用より給与が低くなるというイメージもあるかと思いますが、一概にそうとは言えません。
障害者雇用の場合、通院などのために早退したり休んだりする日があります。必要な配慮を受けるために勤務時間が短くなり、結果的に一般雇用の方より給与が低くなる、というのが正しい認識です。
また、企業の採用担当者は障害の特性だけではなく、個人の能力も鑑みて適切な給与を決めています。転職先でも活かせるスキルを持っている方や希望する業種の経験者は一般雇用の方と同程度の給与を貰える可能性があるため、経歴は積極的にアピールしましょう。
フルタイムで働く自信がない方は、短時間勤務の求人を検討してみましょう。
厚生労働省は障害者雇用の促進を目的として、平成22年7月より、実雇用率や法定雇用障害者数を計算する際に短時間労働者も含めてよいと認めています。
この法改正は障害の特性や体調の都合によりフルタイムでの勤務が難しい方だけではなく、企業にとってもメリットがあるため、短時間勤務を前提とした求人は少なくありません。
職場へ長く定着するためにも、短時間勤務の検討は有効です。
参考:障害者雇用促進法が改正されました – 厚生労働省
障害の特性を理解することで、発達障害の方は充実した職業生活を送れます。ご自身の特性がわからない方や就職活動での困りごとがある方は、障害者向けの就職・転職エージェントに登録しましょう。
転職エージェントに登録すると、障害について専門的な知識をもつコンサルタントが、あなたの障害特性を理解した上で最適な求人を提案してくれます。企業の採用サイトや他の転職サイトには公開されていない待遇の良い求人も紹介してくれるため、一人で行うよりも有利に就職活動を進められるでしょう。
就職・転職エージェントを活用して、快適な職業生活を送ってください。
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